マリカフェ

世界の色んな料理や面白いレシピを見ると、ついカッとなって作ってしまう、ほぼ好奇心と食欲のみに突き動かされている料理ブログ

マドレーヌ。温めるか冷やすか、どっち。

手作りお菓子の基本、マドレーヌ。
日本だったら、貝の形のマドレーヌの他に、丸いギザギザの銀紙の型に入ったマドレーヌがあったなあ。

小学校時代、お父さんがフランス語の教授だという同級生がいて、その子のお家に遊びに行った時、お母さんが本場仕込みのマドレーヌの作り方を教えてくれたことがあります。

面白いと思ったのは、材料の計り方。
粉や砂糖の量は、もともと決まった量があるわけではなくて、その時使う卵の重さに合わせて決めていくというもの。

へー!!と思ったものの、小学生だったので、細かい工程は忘れたし、家に帰って自分で作るという機会はありませんでした。

ちなみにその同級生は中学校までは一緒だったものの、その後連絡を取り合うことは無かったのですが、なんとその後、学生時代に訪れたベルサイユ宮殿でバッタリ再会!!!

私は学校で知り合ったフランス人の同級生の家でクリスマスを過ごしにおフランスへ(これもまた面白い経験だったので後でそのうち書く)。そして彼女はフランスの別の街に留学中で、冬休みの間にパリに遊びに来たとのことだったのですが、それにしても地球の全然違う場所で、こんな形でバッタリ会うとは・・・。

今でもマドレーヌというと、彼女と、作り方を教えてくれたお母さんを思い出します。



さて、子供もお手伝いできるので、最近またたまーに家で作るようになったマドレーヌ。

卵、はちみつ、粉、砂糖、溶かしバターと、使う材料もシンプル(って、大体のケーキの材料なんてそんなものか)。
レモンの皮をすりおろしたものも入れて、ちょっと爽やかな感じにするのがお約束です。

大体どのレシピを見ても、生地を冷蔵庫で1−2時間、時には一晩寝かせるように書いてあるものが多く、我が家でもそうしていたのですが、ちょっと前に手に入れたこの本では、少し様子が違いました。

日本では有名な!青木定治さんのレシピ本!

甘いもの食べない云々言ってる割に、やっぱりプロはどんなふうに作っているのか気になってしまい、ついつい買ってしまうこういう本・・・。

この本に載っているレシピは、まず分量が不思議。
たいていのお菓子のレシピは、粉や砂糖の量は150グラム、200グラムなど切りの良い数字だと思うのですが、このレシピはバターや卵など、材料の重さが158グラム、79グラムなど、なぜか端数。

といって材料を合計しても切りの良い数字になるわけでもないみたい。なんぞ?

はちみつは、80じゃなくて、79グラム。
この1グラムの微妙な差が、きっとこだわり抜いたバランスの妙なんだろうか・・・?!

そして、出来上がった生地は、冷蔵庫で寝かせるのではなく、生地の温度を30度に保ったまま2時間おきます。

ムムッ!
生地を冷やすのと温めるの、どんな違いが生まれるのか?!?!

本来であれば、この2つの条件のマドレーヌを同時に作って比較実験するべきところでしたが、そこまでする気力が無く、サダハル・アオキの生地温めバージョンのみに挑戦してみました。

生地に落としラップをして、予熱中のオーブンの上に置いておきます。
だいたい27度をずっとキープできました。

あと、レモンのすりおろしはレシピには含まれず。

お友達の差し入れ用に作ったため、30個ぐらい作ったのですが、バッタバタしていたため、完成品の写真を取るのを忘れるという体たらく。

まだ家に残ってる、焼くのを失敗した最初のバッチの写真はこれ。

家にあるマドレーヌ型はノンスティックなので、普段は型に粉やバターを塗ったり塗らなかったり。

でも今回はレシピに忠実に、型に溶かしバターを塗ってから粉をはたいてみたのですが、溶かしバターが型の底に微妙に溜まってしまい、その上に粉をふったため、バターが粉を吸って必要以上の量型に残ってしまう事態に・・・。

というわけで、マドレーヌの表面に白っぽい粉の塊がくっついてしまいました。
味もこのせいで生焼けの粉の味が残ってもうた。

以降は型にバターだけちょっと塗って焼きました。
型に塗る溶かしバターで、マドレーヌの色と風味が決まる・・みたいなことが書いてあったのですが、どうだったろう?

そして、生地を冷やすか温めるかの差ですが・・・やはり比較対象が無かったため客観的なところは良くわからず。

ただ、生地は卵の量が数グラム多かったからか?思ったよりユルユルで、絞り袋に入れたら入れた先からだーっと外に流れ出る事態に。

仕方ないのでスプーンで掬って型に入れました。

焼いたその日の試食では、明らかに普段のマドレーヌよりもふわふわやわらかい食感で、あ、ちょっと違う!と思ったものの、翌日また試してみる頃には、普段焼いていたマドレーヌの味の記憶よりも、目の前にあるマドレーヌの実際の味や食感に自分の感覚が慣れてしまうためか、その違いも果たして本当だったかわからなくなってしまいました。

実際の感覚と、記憶にある感覚の比較なんて当てにならないのは、水漬けパスタは本当にもちもちなのか、比較実験した時につくづく思ったこと。

うーん、やっぱりちゃんと比較対象になるものを作らないといけませんね。

生地を冷やす理由としては、小麦粉に水分をたっぷり含ませるため、という説明があるレシピには書いてあったんですが、他のケーキは寝かせないのに、マドレーヌに限って、それはなぜ?

そして冷やすのも温めるのも目的(小麦粉に水分を含ませる)は一緒なんだろうか?

誰かー!

ちょっと今後のまた課題にしたいと思います。

英語版マリカフェ、はじめました

(車掌の声で)えー、毎度ご愛読、ありがとうございます。
このブログは、頭にカーっと血がのぼって色々と作り散らかしている料理について書くブログ「マリカフェ」でございます。

ここでは主に日々作った料理について書いておりますが、英語版マリカフェは、以下のリンクより、閲覧いただきますようお願いいたします。

maricafe.wordpress.com

・・・色々書き散らしているのに飽き足らず、さらに英語版を開設しました。
タイトルまで一緒で、ま、紛らわしい・・・・!!

しかし内容は、日本語版とは全く違う感じになりました。

内容は食べ物、料理そのものというよりも、食べ物を通じた思い出やエピソード、ちょっとしたストーリー。

そしてレシピもちょびっと。

面白い現象なんですが、英語で文章を書く時、日本語で文章を書く時、たとえトピックやテーマが同じでも、書きたい内容やポイントが変わってくることに気がつきました。

「面白く読める文章」を書く時の構成が英語と日本語ではなんかちょっと違う。

内容も、言語によって読み手が知っている前提みたいなものが違ってくるからか、日本語で書いたり考えた文章をただ翻訳しただけだとわかりにくかったり、つまんなくなってしまう感じがする。

日本語で考えたコアなアイデアは残しつつも、書く時は頭の中から日本語を完全にスイッチオフして書いていく・・・。

するとどんどん日本語で書くのとはまた違う感じに話が広がっていったりします。

自分の中に広がる2つの違う世界。うーん、面白い。

とりあえず旦那や地元の友達に見せたら受けたので、こちらもちょくちょくアップデートしたいと思います。
とはいえ、やっぱり日本語書くよりは時間がかかる〜。

内容も長め。
でも書いてて楽しい。
あともっと色んな国の人にも読んでもらえる。
こちらもどのように進化するか、楽しみです。

現在アップしたのは、

Cute bento for Who?
子供の弁当作成時における私の中での日本人ママ、アメリカ人ママモード変換の話

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My soul food - Okonomiyaki
大阪礼賛。私のソウルフード、お好み焼きの話

Food for life and death
3年前の祖母の葬儀の思い出(おおばあばを箱に入れ、オーブンに入れて焼く話、火葬場での食事、そして食べ物を通じて感じる生と死について)

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の3本です。

良かったら覗いてみて下さいねー!
ふんがっふっふ!!

【プロジェクト・エルサレム】17品目:南蛮漬けの本当のルーツは・・?!

ロンドンで人気のデリ・カフェ「オトレンギ」を経営するヨタム・オトレンギさんとサミ・タミーミさんによる料理本「エルサレム」。これを全品作るプロジェクト17品目はこちら!

www.maricafejp.com

これ、何か見覚えありませんか?

そう・・・南蛮漬け!!

料理本では「甘酸っぱいソースにマリネした魚」というのがレシピの名前ですが、衣をつけて揚げた魚やパプリカ、玉ねぎ、トマトなどの野菜を、甘酢ソースに漬けたものです。もうまんま南蛮漬けです。

つけ汁にカレー粉が入っていますが、味も日本で食べる南蛮漬けとあんまり変わらずでした。

南蛮漬けの起源は、ササン朝ペルシャ・・!?

南蛮漬け、南蛮と言うからには、ポルトガルやスペイン人が日本に持ってきたんだろうけど、じゃあ似たような料理があっちにもあるはず…

と調べてみたところ、どうやら

エスカベッシュ(またはエスカべチェ)

がもとの料理っぽい。

スペイン、ポルトガルやフランスなどで作られる、まんま甘酢ソースがけ。
お魚の他にお肉で作られることもあるそうです。
甘酢ソースにサフランなどが入るところが微妙な違い。
結構クックパッドにもレシピが載っていました。

さらに面白いことに、エスカベッシュという料理はもともと古代ペルシャ、今のイランが起源の料理なんだそう。
ササン朝ペルシャ・・・って、世界史でやったよな!!

7世紀にアラブの侵攻を受ける前、まだイスラム国家じゃなかった頃のイラン。
ゾロアスター教とか!
そういえば正倉院に残っているペルシャの工芸品なんかも、ササン朝時代のものだったような。あんな時代。

そんな古代から伝わる料理なんですって!ヒ〜!!!!

エスカベッシュという言葉も、ペルシャ語のal-sikbaj(発音はアシクバージみたいな感じ?)から来ているそうで、sik=酢、ba=煮込み、みたいな意味だそうです。

主に羊の肉を甘酸っぱく煮込んだ料理で、13世紀に書かれた料理本にその魚バージョンの記載も見受けられるのだとか。

言われてみればさもありなん!

ご飯にレーズンが入る中東炊き込みご飯を始め、甘いものとしょっぱいものの組み合わせ料理って、実はペルシャ起源のものが多かったりするのは何となく知っていましたが、日本でも慣れ親しんでいたこの料理が、そんな遠い時代の遠い国から来たものだったとは意外でした。

ゾロアスター→イスラム→キリスト教→仏教(と神道)の国へ

この料理、ペルシャを征服したアラブ人がさらにスペインやその一帯に侵攻した時、ヨーロッパにもたらされたようです。

ウマイヤ朝・・・うーん、細かすぎて覚えきれなかった名前かも。
思えば歴史の授業ってなんであんなに暗記が多かったんだろう。
こういう流れで覚えていたら楽しかっただろうになぁ・・。

もともとは羊をメインに使う料理でしたが、敬虔なキリスト教徒は受難の日である金曜日にはお肉を食べずに魚を食べる習慣があり、それ用の魚料理として、スペインやポルトガル(フランスやイタリアの一部にも)に、広まったんじゃないかと言われています。

そしてそれが、布教や交易を目指してやって来た南蛮人を介して日本に伝わった・・・・

と思うと、なんて壮大でロマンチックな料理!!!!!

ゾロアスター教の国の食べ物だったものが、イスラム教徒によりヨーロッパにもたらされ、ヨーロッパのキリスト教徒により、日本にもたらされ。

しかもこの料理、今のイランには残っていないんだそうです。
伝播した先だけに残る遠いササン朝の記憶・・・。

次回南蛮漬けを作る時は、ぜひそんな壮大な歴史に思いを馳せて見て下さい。

ご本人にご報告

料理本を買ったのはもう4年前ですが、その当時本を見てあれ、これは南蛮漬けじゃん!と思い、思わずオトレンギさんに「日本にも同じ料理があるでぇ!!」とお知らせしたくなり、実際にお知らせしました。

「それは知らなかった、面白いね」
たった一言のレスに喜ぶミーハーなワシww

坊さん失神、スルタン喜ぶ

陳家がトルコを訪れたのは2002年、まだ9・11の傷も生生しい時期でした。

テロ直後だったし、初めてイスラムの国に行くのに最初はビビったのですが、行ったらものすごく楽しくて美味しくて、行って良かったと心から思いました。行く前後のギャップのことを未だに旦那に笑われます・・・

今までにおフランスやらイタリアやら、ご飯が美味しい国も訪問し、それぞれで美味しい思いも沢山しましたが、全体的に見て一番美味しかったのはどこかと聞かれたら、やっぱり「トルコ」と答えるかもしれません。

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そのココロは、

  • 野菜が新鮮でうまい。美味しい野菜料理たっぷり
  • 肉がうまい、ケバブうまい、肉の風味豊か
  • たっぷりのオリーブオイルと野菜のせいか、お通じスッキリ(イタリアでもかなり美味しい思いしたけど胃酸過多、胸焼けを初めて経験)
  • あれだけ食べまくったのに1週間の旅で2キロ減った(よく歩いたのもあるけど)

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さらに私達が訪れた時はラマダン中。

レストラン閉まってるんじゃないか・・と心配しましたがそんなことは全くなく、異教徒である私達は全然普通にご飯を食べられたし、逆にラマダン期間ならではの経験を沢山することができました。

夜明け前に町内会の太鼓の音で起こされてみたり(日の出前にご飯食べろ!と起こしてくれる)、イフタール(日没とともに食べる断食明けの食事)メニューを試してみたり、ラマダン中モスクの周りに立ち並ぶ夜店を遅くまで楽しんだり・・・。

そんなトルコで行ったお店のひとつが、Haci Abdullah。
1888年、オスマン帝国の時代から、場所と名前を変えつつ営業を続けている老舗レストランで、オスマン帝国の時代から伝わる伝統的なお料理を出すお店です。
もしかしたら日本のガイドブックにも載ってるかもしれません。

haciabdullah.com.tr


このレストランで貰った小冊子。

レストランの歴史や、古い店だけあって、それこそスルタンやらトルコの著名人の出入りも多いため、そんな人達からの賛辞、そしてレストランで出されているお料理のレシピが幾つか紹介されています。

そしてなぜかこのレストラン、ISO9002を取得したらしい。そのお知らせもw

この小冊子、ただただ眺めるだけだったのですが、15年間眺め続けていたら、とうとうカーっとなって作ってみようという気になりました。
時間かかりすぎw

坊さん失神

İmam bayıldı(イマム・バヨルドゥ)」坊さんが失神、卒倒、ひっくり返ったという名前がついているお料理。

茄子の上に、トマトと玉ねぎをオリーブオイルと砂糖などで味付けしたものを載せ、煮込んだものです。

あまりに美味しくて食べたイマーム(イスラムの坊さん)が失神したから、こういう名前がついているらしい。

材料費を聞いてあまりの高さに失神したとか、使っているオリーブオイルの量の多さを聞いて失神したとか、諸説あるらしいですが、スープの匂いをかいで塀を飛び越えたり、聖職者って意外と食べ物に弱いのね。

この冊子、英語がちょっと変で、どうも作り方や材料の分量が不明瞭なところが多々あり。

なるべくこのレストランのレシピに忠実に作ってみたいけれど、間違った方向に行かないようにオンラインで他のレシピも参考に見てみたんですが、他のレシピでは下準備として茄子に塩をしてみたり、焼いたりと色々しているのに、このレシピは茄子の皮を剥いたら、他の材料を上において水からいきなり煮込む!という他と比べるとかなり荒っぽいシンプルなレシピでした。

本来、ホカホカではなくて冷菜として食べるこのお料理。作ってすぐ食べてしまったので、まだちょっと味が馴染んでなかった気がする。次回また。

スルタン喜ぶ

Hünkar Beğendi(ヒュンキャル・べエンディ)」こちらはスルタンが食べて喜んだと言われているお料理。

日本では「スルタンのお気に入り」と訳されているようです。

茄子やそのほかの材料をピューレにしたものの上に、トマトで煮込んだ羊の肉が載っています。

このお店のレシピでは、ピューレにココナッツの粉を入れます。
ただしどれだけ入れるか分量が書いてなかったため、大さじ1ぐらいにしておきました。

分量の参考にしようと他のレシピも当たってみたけど、このお店のレシピ以外にココナッツを使うレシピは見当たらず・・。

ココナッツを入れると、ちょっと甘みが出て、より風味が増す感じ。

乳糖不耐症なため、牛乳は豆乳に、チーズも山羊のチーズで代用しましたが結構いけました。

茄子は大きいやつをオーブンに入れていたのですが、空気穴を開けておくのを忘れ、オーブンの中で「ドーン!」と大爆発ww
茄子を焼く時には気をつけましょう。

ヒュンキャル・べエンディの作り方

<材料:4人分>

  • 茄子:2本
  • バター:100グラム
  • 小麦粉:大さじ2
  • 牛乳:800cc
  • ラム肉(牛で代用可):400グラム、サイコロステーキの形に切る
  • トマトペースト:大さじ3
  • ハリサなどの唐辛子ペースト:大さじ1(無くてもよし)
  • 玉ねぎ:1個
  • チェダーチーズすりおろし:1カップ
  • ココナッツパウダー:大さじ1
  • 塩少々

<作り方>

  1. 焼き茄子を作る。バーナーやオーブンのブロイル(上火)で茄子の皮が真っ黒になるまでしつこく焼く。茄子は爆発することがあるので、竹串やフォークで事前に穴を開けておくこと。焼けたら皮を剥いて、水に放す。熱くなくなったら水分を絞り、包丁で適当に切って置く。
  2. ピューレを作る。バター50グラムと小麦粉大さじ2を鍋に入れ、焦がさないように5分ほど炒めた後、先程の焼き茄子と牛乳800cc、チーズのすりおろし1カップ、塩少々とココナッツパウダー大さじ1を加え、10分ほど、もったりするまでかき混ぜながら煮る。
  3. ケバブを作る。玉ねぎ1個をみじん切りにし、バター50グラムと一緒に炒める。玉ねぎが透き通って来たらサイコロ状に切った羊肉を入れ、10分ほどさらに炒める。トマトペースト大さじ3とハリサペースト大さじ1(入れなくても可)、塩少々を入れ、水を肉が被る程度に入れ、20分ほど煮込む。
  4. ピューレを皿に敷き、上に煮込んだ肉を並べて出来上がり。

失神はしませんでしたが、食べて喜ぶお料理でございました。

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