マリカフェ

世界の色んな料理や面白いレシピを見ると、ついカッとなって作ってしまう、ほぼ好奇心と食欲のみに突き動かされている料理ブログ

イタリアの、悲惨で不幸なパスタ

夏休みが始まるカウントダウンが始まりました。木曜日には夜7時に学校を開放して、今年1年の勉強の成果を教室に張り出す「オープンハウス」がありました。

展示された子供の作文やアートを見たり、他の学年の教室を巡ったり。こちらでは、毎年先生たちは同じ学年を受け持つことが多いので、次の学年の先生と会って話すチャンスでもあります。

学校が終わってスイミングに行き、いったん家に帰って大急ぎで夕食を食べてからのオープンハウス参加だったので、夕食にはちゃちゃっとパスタを作りました。

こちら、Bucatini alla disgraziata。ブカティーニという、スパゲッティよりちょっと太めで中が空洞になったパスタを、不幸な人風に料理したもの。

内容は、茄子を炒めたのと、トマトソース、それからパン粉が入っております。

「disgraziata」は不幸な人、みたいな意味合いがあるようですが(英語だとdisgraceかな?この場合は不名誉とか屈辱って意味になります)、参考にした料理本には、シシリアの料理で、貧しいシシリアの人達がチーズの代わりにパン粉を使ったのが特徴だからこの名前がついている、とございました。

我が家にはチーズを買うぐらいのお金はなんとかあったので、パン粉と一緒にチーズも上からかけてみましたが・・ww

使った料理本は、アメリカで出版されている旅と料理の雑誌「Saveur」が出した、伝統的イタリア料理の本。この雑誌は、毎回ちゃんと現地で取材したものを紹介していて、日本食では例えば一番だし二番だしの違いから、「むかご飯」のレシピまであったりします。ちょっと本格的すぎて作れませんw

もう少しこの料理の背景を知りたいなと料理名(pasta alla disgraziata)をネットで調べてみたんですが、検索して出て来るイタリア語のレシピ、どれも材料にトマトソースや野菜はあっても、パン粉が入っているのが見つかりませんでした。

さらにこれはナポリの料理だという紹介もあって、ちと混乱。まあどっちも南か・・?

イタリアといえば、ご飯が美味しく、皆陽気でアモーレアモーレオーソレミーオ・・・ってイメージがある(?!)と思うのですが、私がイタリアに勝手に持っているイメージは、どちらかというと、結構建前社会的なものはものすごくフォーマルで堅苦しいところ。

人の感じも、そんなにいつでもどこでも誰に対してもあけっぴろげにパッパラパーと陽気、というのは間違ったステレオタイプな気もするし(地方差個人差ありそうですが)、そして随分昔の話ではありますが、貧困や色んな戦禍に苦しんで大変だったところ、というイメージがあります。

多分そういう貧困に苦しんできた人達がアメリカに移民してきた歴史があるから、そう感じているのかなあ(サレルノ出身のうちの80歳の大家もそう)。

うーん、こっち版のファミリーヒストリーみたいな番組の見すぎ??

そういえば・・・ちょっと前に実家から私が子供の頃に読んでいたこんな本が送られてきました。

「クオレ・愛の学校」。

表題の他に入っているお話は、例えば「母をたずねて三千里」。

中1ぐらいの男の子が、ネットも携帯もない時代に一人で船に乗り、イタリアからアルゼンチンに出稼ぎに出たまま音信不通になったお母さんを、ヒッチハイクと伝聞だけで、ズタボロになりながらとにかく当て所無く探す、電波少年の企画どころではない酷い話。

その他にも、リバプールに出稼ぎにいった先で親に死なれ、イタリアに戻る船に乗ったはいいがその船が難破、救命ボートの最後の1席を別の女の子に譲った男の子の話、サーカスに売られ、虐待されながらもヨーロッパ中をまわる男の子の話など、子供の頃は読んでいて気づかなかったけど、主人公は皆小さな子供なのに、キーワードは全て貧困と海外出稼ぎ・・・。

(「愛の学校」は愛の学校といいながら、読み返してみたら、問題行動を起こす生徒は結局感化院にぶちこまれるという救いようのない終わり方だったww)

どれも随分古い話ではありますが、読んでいたら本当にdisgraziataな話ばかりで、そりゃパスタにかけるチーズなんて買う余裕のない人沢山いただろうな、と思った次第です。

でもパン粉の謎はわからず・・。私がネットで見たイタリア語のレシピにパン粉が入ってなかったのは、も、もしかしたら、みんなチーズを買えないぐらいの不幸からは既に脱却したってことなのかしらん・・・?!

(全ては私の勝手なイメージと憶測です・・・誰かご存知の方いらっしゃったら教えて下さい〜!!)


パスタ+パン粉の組み合わせは、こちらの料理のほうが多く紹介されていました。

昔作った、サーディーンとフェンネル、そして炒ったパン粉が入ったブカティーニ。これは正真正銘シシリアの料理ぽいです。

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