マリカフェ

世界の色んな料理や面白いレシピを見ると、ついカッとなって作ってしまう、ほぼ好奇心と食欲のみに突き動かされている料理ブログ

メレンゲでふわふわ巣ごもり卵の朝ごはん

わちゃわちゃしている朝にもかかわらず、インスタ映え風トーストを作ってしまったのでお知らせいたします。

作り方はとても簡単、卵の白身と黄身を分け、白身をメレンゲ状に泡立てます。

泡立った黄身をパンに載せ真ん中をくぼませて、分けておいた黄身を載せ、トースターかオーブンでちょっと焦げ目がつくぐらい焼きます。

食べる時に塩をぱらっと。お好みで刻んだパセリをかけても。

複数作る時は、黄身をそれぞれ入れる小皿や小さなボウルを卵の数だけ用意したほうが吉。

インスタ蠅がプンプン飛びそうなこのレシピ、私が小学校の頃、実家にあったリンナイのコンベクションオーブンについてきたレシピ本に載っていたとっても古いものです。

今はどうかわかりませんが、当時のオーブンは、普段使わない時はキッチンの隅に置かれていて、使う時にガス栓にホースでつなげていました。

そして種火をつけるのは私の仕事。

一度でつかないので、「チッチッチッチッチッ・・・ボッ!!」となるまでなんどもレバーを押すのが指が痛くなって嫌でした。

と言うか、あのオーブンを使った料理が出てきた記憶が、あーんまり無い気もするんですが・・・(苦笑)今では日本でももうちょっとオーブンも使いやすくなっているでしょうか。

【プロジェクト・エルサレム】【我が家の定番】29品目:根菜コールスロー

一体全部で何品あるのかわからないけれど(あえて数えてない)、じわじわ進んでいるプロジェクト・エルサレム。

ロンドンのレストランNOPI、デリカフェ・オトレンギを共同で展開しているオトレンギさんとタミーミさん。エルサレム出身のユダヤ人、パレスチナ人シェフ2人によるレシピ本「エルサレム」を全部作ろうとする試みです。

www.maricafejp.com


さて今回のレシピは、この本の中で一番「我が家の定番」になりつつあるもの。もう何度も作っています。

千切りフェチにはたまらない、根菜のコールスロー。

材料は人参、ビーツ、そしてコールラビとセロリルートというあまり聞きなれないかもしれない野菜です。

これは種ですが、コールラビ、キャベツ系の野菜のようです。ぷっくりなった芯の部分を食べます。

一方セロリルートはセルリアックと呼ばれるのが日本では一般的のよう?根っこの部分を食べます。実際セロリのような、香り野菜的な良い香りがいたします。

カリフォルニアではスーパーでどちらも手に入ります。

これらの根菜を、煮たり焼いたりせずに全部生で切り刻み、ドレッシングと和えるだけ。特にビーツは、もともと土っぽい味がイヤ、と好き嫌いが別れる野菜ですが、生で食べてもそんなに土っぽく感じず、パリパリな食感が逆に良い感じでした。

最近はビーツや人参にも色々な色のものがあるので、なかなかカラフルなサラダになるのも嬉しい。材料が全部揃わなくても問題なし。なんだったら大根とかも入れても面白いかもなぁ。

レシピではこの上に「ラブネ」と呼ばれる水切りしたヨーグルトをちょっと載せることになっていますが、なくても十分。載せると逆に重くなりそうで、我が家ではいつもヨーグルトは抜きで作っています。



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【映画飯】ライオン〜25年目のただいま:迷子の記憶を呼び覚ますインドの揚げ菓子は、私にも少し懐かしい味だった

ネット上の書評や映画レビューやレシピなど、気になったものはブックマークして、時間がかかっても意外とちゃんと見たり読んだり作ったりすることが多いです。今回はそんな中でも映画レビューを目にしてから秒速で映画を見て、秒速でそこで気になった食べ物に出会ったお話。

5歳の記憶とGoogle Earthだけで、生まれ故郷と家族を探す実話

レンタルでも見れます☟



インドの貧しい家庭に生まれた5歳の少年サルー。夜の鉄道の駅に残飯や小銭を探しに向かう兄についていき、迷子になってしまいます。なんと乗り込んだ列車がサルーを1800キロもはなれたカルカッタまで運んでしまったのです。

えー、1800キロというと、東京から上海ぐらいだそうです・・(!)それって外国!!!

実際インドでもそれだけ移動すれば外国も同然。ヒンズー語しか話せないサルーは、ベンガル語中心の混沌都市カルカッタで完全に迷子になってしまい、結局家には帰れず。孤児院に入れられ、その後オーストラリア人夫婦に引き取られ、タスマニア島で育ちます。

そんな彼が、ひょんなことからGoogle Earthを使い、自分の記憶の中に焼き付いている風景だけを頼りに6年かけて画像を見まくり、そこから自分の生まれ故郷、そして家族を探し出す、とてつもない話。そして最後は涙がちょちょぎれました。しかもこれ、実話なんだそうです。

陳家ブログおギリシャ編でも言及させていただいた、id:DaysLikeMosaicさんの映画ブログのこちらの記事に、裏話含め紹介されています。この記事を読んで速攻Netflixにあった映画を見てしまいました。

dayslikemosaic.hateblo.jp

主役のデヴ・パテルが私好みの濃いイケメンなのもよろしいですが(実際のご本人とは似ても似つかない)、彼が演じるオーストラリアでのサルーより、子役が演じる、インドでの場面が何よりも衝撃というか、深く深く残ります。この子役の演技もすごい(そしてとても可愛いらしい)ですが、そこらへんの話もDaysLikeMosaicさんの記事に詳しいので、ぜひチェキラッチョ!

サルーが食べたかった揚げ菓子

この映画の中で、サルーが自分の故郷、家族のことを記憶だけでなく感覚的に思い出し、6年間に渡りひたすらGoogle Earthの画像を見続けるきっかけを作った食べ物が出てきます。


走行中の貨物列車から石炭を盗み、それと交換にミルクをもらうサルーと兄グドゥ。サルーよりずいぶん年上のお兄ちゃんグドゥは、父親のいないサルーにとっては、兄であり父親的存在だったそう。

そんなグドゥに、あれ買ってよ、とサルーがお願いするのがこれ、インドの揚げ菓子「ジャレビ

「また今度、一個買ってやるから」「お店ぜーんぶ買ってよね」


・・・結局ジャレビを口にすることはないまま、サルーはその後迷子になり、遠いオーストラリアへと渡ることになります。


そして25年後。

オーストラリアでもタスマニア島というちょっと田舎で、白人の両親に育てられたサルー。きっとそれまではインド料理なども口にする機会はそうなかったんじゃないかと思いますが、進学のために出てきたメルボルンで、インド系の学生と交流する機会が生まれます。

そしてパーティーで訪れたインド系学生のアパートのキッチンに置かれていたのが、このジャレビ。


それを恐る恐る手に取り、匂いをかぎ、一口かじってみるサルー。そして思い出す兄との記憶。

もちろんそれまでも、ずっとインドの家族のことは思い続けていたけれど、実際に昔の自分と結びつくものを手に取り、口にして、その気持ちや自分の記憶がよりリアルなものとして蘇ったようなシーンでした。

ジャレビとは

今見返して見たら、ジャレビが出てくるシーン、本当に一瞬だったんですが、やはり食べ物のことが気になる身としては、あの赤っぽい色は何?!どんな味?!とめちゃくちゃ気になります。

材料は小麦粉、ひよこ豆の粉。これをイーストで少し膨らませ、着色料などで色をつけ、油に生地をたらしながら揚げていきます(この部分は、アメリカにもあるフェンネルケーキに似ている)。

生地が揚がったら、サフランなどが入ったシロップにつけます。シロップが染み込んで甘く、でもサクッと感も残しているのが特徴。と言うより、激甘のようです。

おやつ、デザートとしてだけでなく、特にお祭りや週末の朝ごはんに、ミルクと一緒に食べることもあるそうです。インドのテレビコマーシャルでは、「お母さんが朝ごはんにジャレビを作ってくれる」というシーンがあったりも。

日本語でもジャレビ、で検索すると、インドを旅行した人が駅などで買ったりしている記事が出てきます。大きいのが6個ぐらいで約13円ぐらいらしい(10年前の値段)。でも映画では、その1個分も買うことができなかったサルーとグドゥ(涙)

ジャレビを探せ

さてこのジャレビ、食べてみたいけれど、アメリカにはあるんだろうか。

これは、よく行くインド食堂+食料品店が一緒になった店のデザートコーナー。ここでは見たことがない気がする。

そうでなくてもインド(そして中東)のお菓子は頭がキーンとなるほど激甘。なければ作ってみるというのも辛そうだ・・・、きっとインドコミュニティが多いシリコンバレー近辺の店にはあるだろうか、こりゃ問い合わせるかな・・・と思いながら家族と夕食に出かけました。

すると帰りに立ち寄った中東系食料品店のデザートコーナーに・・・


ん?

こ、これは、もしかしてさっき映画で見たやつでは!?

でもここは中東マーケット。

お店のおじさんに「これなーに?」と聞いてみると、「これはインドのお菓子なんだけどね・・」

「あ、ジャレビでしょ!」

「試してみる?」とおじさん、このプラスチックの蓋を開けて1個取り出してくれました。売り物だけど、いいのかい?


旦那と半分づつ分けてみました。

ご覧の通り、芯までシロップに浸かっています。

甘い。

揚げたてではないから、もっとシナシナかと思いきや、そこまでひどくない。

食べたことないはずなのに、何か似たようなものを食べた記憶があるぞ。

旦那はなんども使った油の味がする、と一口でギブアップ。でも私はなぜかその変な懐かしさから、3口ぐらい行ってしまいました。

6分かけて思い出した記憶の味

ジャレビを口にして、故郷と家族を探し始めたサルー。

食べたことのないジャレビを口にして、何か子供の頃に食べたものを思い出した私。

アメリカには絶対にない味、多分日本で食べた、日本独自のお菓子だったはず。でもなんだか全く思い出せない・・・。

Google Earthに頼ったサルー。そして、Google 検索に頼った私。

名前も実態も覚えていないお菓子をどう調べればいいのか。



和菓子 揚げ菓子


こんなファジーなキーワードで出てきた検索結果。そしてわかりました。

これだ!

[asin:B0133NNE80:detail]

ものによっては、芋けんぴ、外のコーティングがもっとペトッとしていて、飴が中にちょっとしみててじわっ、でもまだカリッ、という部分も残ってる、ウェットタイプ的なものもありますよね。

ジャレビのメインの部分は芋っぽくはないけれど、食感と風味が、なんだかそんな感じです。

かりんとうにも少し似てるけど、やっぱり思い出すのは芋けんぴ。ジャレビは、ウェットタイプの芋けんぴに似ている!!

サルーは6年かかった、そして私は6分かけて見つけた故郷(の味)。いずれにしても、グーグル先生お世話になりました。

長年忘れていたものでも、嗅覚や味覚として現れると、それは一瞬で人間の記憶を呼び起こすものなのかもしれません。自分の中でもきっと、そういうものがあるんだろうなあ。


LION/ライオン 25年目のただいま

日本語のトレイラー。ジャレビも出てきたよ!




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【映画飯】クイズ・ショウのチョコレートケーキ

クイズ・ショウ [DVD]

クイズ・ショウ [DVD]

1994年に公開されたアメリカ映画、クイズ・ショウ。

1950年代に実際に起きたクイズ番組での不正やらせ事件を描いた映画です。

当時人気だったクイズ番組「21」を、そのオタク的トリビア知識で8週勝ち抜いたチャンピオンは、もさっとした感じのユダヤ人。

NBCとスポンサーは、このパッとしないチャンピオンのせいで視聴率もパッとしないと考え、わざと答えを間違って負けるよう指示、代わりにコロンビアの教員で爽やかなイケメン、チャールズ・ヴァン・ドーレンを新しいチャンピオンに仕立て上げます。

新チャンピオンとなったチャールズさん、父も叔父もピューリッツアー賞を受賞した有名な詩人な上に、母親も小説家。名前を言うと皆が「ヴァン・ドーレンって、あのヴァン・ドーレン?」と聞き返されるようなサラブレッド。おかげで彼の人気も番組の視聴率もうなぎのぼりのウハウハ状態に。

そんなチャールズさん、テレビ局の思惑や、自分が番組で得た名声や巨額の賞金やらいろんなしがらみから、苦悩しつつも事前に答えを教えてもらう八百長を続けてしまい、最後には政府の調査が入ることとなります。

視聴率稼ぎ、スポンサーの利益。これはただのエンターテイメントだし、回答者は巨額の賞金が手に入り、視聴者はそのドラマ、スリルを楽しんで見ているんだからいいじゃないか、と開き直るテレビ関係者。テレビ業界の構造や倫理にメスを入れようとしたのに、いわば不正に関わった末端の人々だけが不幸になってしまったこの事件。う〜ん、今の時代にも思い当たることが多々あるような。

そんな映画の中で、不正に手を染め始めたチャールズさんが実家に帰り、夜に冷蔵庫から大きな牛乳の瓶と、チョコレートケーキを一切れ取り出し、頬張るシーンがあります。この一切れがまた大きい。それを起き出してきたお父さんも一緒になってつつきます。

子供の頃、学校から帰ってくると、冷たいミルクとチョコレートケーキがあった。シンプルだけど、あれ以上の幸せを感じられるものが、あるだろうか、とチャールズ。

クイズ番組に勝ち続け、多額の賞金と名声を手にしているのに全く幸せではない彼。それを知らない父の答えは「その幸せに勝るのは息子を持つことだよ」。

インテレクチャル一家に生まれて、彼自身の学歴もかなりなものだけれど、いつも有名な両親の影でこの人は色々引け目を感じてもいたのだろうなあ。

で、そのチョコレートケーキなんですが。

休みの日に子供が急にママとチョコレートケーキを作りたい、と殊勝なことを言ったので、この映画のことを思い出しつつ、Netflixで見返しつつ、クイズ・ショウ風チョコレートケーキを焼きました。

https://www.instagram.com/p/BbVOWawgKWY/

参考にしたのは、もう大昔学生時代に買ったこの本。

シネマ厨房の鍵貸します〈PART2〉―映画に出てくる料理を作る本

シネマ厨房の鍵貸します〈PART2〉―映画に出てくる料理を作る本

映画のワンシーンに出てくる料理を実際に作ろう、と映画のエピソードを交えたレシピ本。思えば自分が何を見ても食べ物ばかりに注目する原点になった本かもしれません。シリーズで2冊出ています。

ここではハーシーズのセミスイートチョコレートチップを1袋使うレシピが紹介されています。ハーシーズのチョコといえば、亡くなった祖母が戦中だったか戦後だったかにこっそり食べた思い出話を聞いたことがある位昔からあるメーカーです。当時はもう夢のような食べ物だったに違いない、のですが、今の時代を生きる私たちにとっては、ハーシーズのチョコは混ぜ物だらけの粉粉の安物チョコ・・。

市販のチョコチップの原材料を確認すると、大豆レシチンやら乳化剤やら色々入っているものが多いのですが、近所のスーパーに「アレルギーフリー」の触れ込みで、材料がチョコレートと砂糖のみのチョコレートチップがありました。

さらに甘いものが苦手な我が家、セミスイートではなくダークチョコを選択。砂糖の量も種類も大幅に変更、ダイソーで手に入れた一番小さいケーキ型(12センチ)で焼いたら、もう絶妙な甘さのしっとりしたケーキが焼けました。

これは後にまた焼きたいので、以下にメモ。

材料(12センチのケーキ型)

チョコレートチップ(混ぜ物なしのダークなもの)85グラム
牛乳大さじ1.5
無塩バター50グラム
薄力粉30グラム
ココアパウダー(砂糖入りを使用)大さじ1
ベーキングパウダー小さじ1/2
卵2個
ココナッツシュガー35グラム
グラニュー糖15グラム
ブランデーかラム酒

作り方

  1. オーブンは350F(170C)、型にはバターを塗る
  2. 牛乳、チョコレートチップ、バターを火にかけ溶かす
  3. 薄力粉、ココアパウダー、ベーキングパウダーを合わせる
  4. 卵黄2個分にココナッツシュガーを入れすり混ぜる
  5. 粉と擦り混ぜた卵黄を合わせ、ブランデーかラム酒をちょこっと入れる
  6. さらにとかしたチョコレートを混ぜる
  7. 卵白はグラニュー糖入れながら角が立つまで泡立てる
  8. 最後に卵白を泡が潰れないように生地に混ぜ入れ、生地を型に流す
  9. オーブンで40分。少し中がファッジ状になっていればオッケー

作る前日の夜、寝る前にベッドの中で子供はどんなデコレーションをしようか、ラズベリーと花を飾るなどと色々考えていたようですが、出来上がったら今すぐ食べたいと、映画のようにシンプルにグラスに入れた牛乳と一緒に、暖かいままいただきました。




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