大統領が変わってから、世の中次から次へとこれでもかと色々なことが起きているように感じる今日この頃。考える暇もなくニュースが頭の上を飛び交って行く気がします。そんな中で、食べ物視点でついものを見てしまう私、最近起きている事象にがっつり関わっているアメリカの料理関係者、シェフのみなさん3人をご紹介します。
プエルトリコに出ずっぱりの、ホセ・アンドレス
ワシントンDCをベースに全米に数多くのレストランを出しているホセ・アンドレス。
私がDC在住の時は、タパスの店ハレオ、今でもまた行きたいな〜と懐かしく思い出すトルコ料理屋Zytiniaなど3店舗ぐらいしかなかった彼の店。でも気がつくとあれよあれよという間に、彼の店舗が全米各地にできていました。
政治の街でありながら、意外と食べ物はイケてなかったDC。でも前回DCに行った時、レストランシーンがずいぶん良くなっていることに驚きましたが、彼のレストランで修行したあと独立してお店を出しているシェフも多かったです。
ニューヨークなどもともと競争の激しいところではなく、DCを活動拠点にしたところも、彼の目のつけどころは実はすごかったんじゃないか、と今頃になって思ったり。
そんな彼自身はスペイン出身。かのフェラン・アドリアの元で修行。彼の存在が自分の人生をものすごく変えたそうで、以前見たテレビ番組では、当時まだあった彼の伝説のレストラン「エル・ブジ」を訪れ、えらく涙目になってフェラン・アドリアに感謝しておりました。
アメリカに来てからは、アメリカのレストランシーンにタパスのコンセプトを導入したり、ハーバードで分子ガストロノミーを教えたりもしていたそうです。
そんな彼、まだ大統領になる前のトランプがDCにホテルを開くことになった時、そこにレストランを出店することになっていました。しかしオレンジハゲ隠しのおっさんの一連のヒスパニックに対する差別的発言に反発して契約をキャンセル。
その後、契約不履行を訴えるトランプと訴訟合戦になりました。そんなこんなで、私の中では反トランプの先鋒を行くシェフ、という位置づけが強くなってきているお方です。
そして彼は今、ハリケーン・マリアの爪痕がまだまだ残るプエルトリコで、ずーっと被災者への炊き出しを続けています。
プエルトリコ、本土から遠くて忘れがちですが、アメリカの一部です。なのにまたトランプのおっさんが神経を逆撫でる発言を色々したり、政府からの支援活動も復興も、テキサスの時と比べてずいぶんと遅れています。今でも8割のところで電気が通ってないようだし。
そんな被災地に真っ先に飛んでいき、彼は何はともあれ炊き出しを始めました。彼のツイッターは以前からフォローしていたのですが、気がついたらプエルトリコにいて、パエリアを大鍋で大量に作ったり、1日に何万個もサンドイッチを作って届けたり。
プエルトリコにも彼の店があるそうで、そこを足がかりに、シェフのネットワークも活用しての大動員。また彼は世界の貧困と戦うNGO、World Central Kitchenという団体も主宰していて、そこを通じて食品会社、最後にはFEMA(連邦緊急事態管理庁)からも資金を調達して、今の時点でプエルトリコ各地に150万食届けたそうです。
After 3 wks,15 kitchens, 500+volunteers, today @WCKitchen #ChefsForPuertoRico served 1millionth meal in Puerto Rico! https://t.co/tPdzgOMNfk pic.twitter.com/ELwVhiNGQ7
— José Andrés (@chefjoseandres) 2017年10月17日
個人の力で、赤十字よりも食べ物を届けているらしい。ご覧の通り、もともとすごいエネルギーの塊みたいな人だけど。本当えらい。すごい。食べ物や料理が好き、という気持ちから、ここまでアクションが取れるバイタリティ、エネルギー。・・・欲しい。
ナパ・ソノマ火事で炊き出し、ガイ・フィエリ
By Jimmy John's Franchise, LLC - Jimmy John's Franchise, LLC, CC BY-SA 4.0, Link
アメリカの食べ物チャンネルフードネットワークを見たことがある人は絶対知っているこの顔。シェフのガイ・フィエリさん。オープンカーに乗って、アメリカ中のダイナーを紹介する番組は、日本ではなんと「食べまくり!ドライブ in USA」という名前で放送されているらしい。
さてもともとカリフォルニアで育ったフィエリさん、現在はサンタローザ在住。そう、日本ではナパとかソノマの火事と言わないと、ああ、あのワインのところ・・とわかってもらいづらいけれど、ナパより北西にある街サンタローザの火事の被害はものすごかった。
彼自身、夜中に起こされ家族と持つものもとりあえず避難したそうです。
そんな彼も、不眠不休で働く消防士さんたちや避難している人達のために、炊き出しテントを建てて食べ物の提供を開始。一度に2500食だかを提供したそうです。が、彼の活動はちょっとネットで炎上しました。
なぜかというと、火事の炊き出しにBBQスモーカーを持ってきたから!
サンタローザからずいぶん離れた我が家でも、かなり煙たい空気が流れていた当時、火事で焼け出された人に煙もくもくたててBBQなんて、それはないんじゃ・・?と非難されたり、カメラクルーも一緒にきたとかで、売名行為だと言われたり。
地元愛から何かしたいと思ったのかもしれませんが、ちょっと素直に受け取りづらい感じになってしまいました。残念・・!
彼の炊き出しはサルベーションアーミーとの連携で行われたようで、今もサルベーションアーミー経由で寄付を受付中。でもそれ以外は、彼のツイッターでも、自分が炊き出しに行ったことなどは書かれていないし、売名行為と言ってしまうのは可哀想かも。
この地域はそうでなくても、グルメの聖地みたいなところで、彼以外にも地元のシェフたちがかなり炊き出しは頑張っていたようです。こちらからも色々寄付をしましたが、食べ物はもういっぱいだから要りません、と言っていた位。
恋人のセクハラ被害で渦中の人?になったアンソニー・ボーデイン
キッチン・コンフィデンシャルという本の出版を機に、シェフと言うより一躍ライターとして注目を浴び、今では世界中を旅する番組や、出版活動などシェフ以外の仕事で超メジャーになった料理界の不良的存在としてあまりにも有名な、アンソニー・ボーデインさん。
ホセ・アンドレスとも仲良し?で、彼が涙目でフェラン・アドリアに感謝の言葉を述べていたのも、ボーデインさんの番組で「エル・ブジ」が紹介された時でした。
そんな彼、オッタビアさんというかなり男前なイタリア人の奥さんがいて、番組にも時々登場していたのですが、何と去年離婚していた・・。彼女は産後フィットネスのつもりでキックボクシングをはじめ、そこからMMAにはまり、グレーシー柔術を始め、かなり激しいトレーニングをするようになって、ライフスタイルが一変したらしい。
一時は一緒にトレーニングもしていた二人ですが、旅で家を空けることも多いボーデインさん、色々すれ違った模様。
で、彼が今デートしている相手は、
イタリアの女優アーシア・アルジェント。
例のきもい映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの長年に渡るセクハラ・レイプスキャンダルが最近明るみに出ましたが、その中でレイプ被害者として声をあげた一人。
もともと毒舌、ドライなユーモアも売りなボーデインさん、そんなこともあり、ここのところ彼女を擁護したり、セクハラに対する発言が注目を浴びるようになり、一時は彼女よりもスポットライトを浴びていないか?とまで言われるように。
一方の彼女は、被害者であるにもかかわらず、イタリアのメディアからは「枕営業したくせに」的な被害者叩きにあったりして、国を出なければいけない事態にまでなってしまいました(日本でもそんな発言したクソ司会者いませんでしたかね・・・)。
映画界もそうですが、野郎が牛耳る文化といえば、レストラン業界だってそうです。
最近ではニューオリンズのセレブシェフ、ジョン・ベッシュが、彼のレストランで起きたセクハラ問題に対応しなかった上に、自分もセクハラをやっていたかどでグループ会社のトップを辞任したとか。
そんなことについても、色々ごにょごにょ発言を始めたボーデインさん。
私も去年、イギリスでレストランの厨房に立つ機会があり、Fワード満載やなぁ、私はアラフォーだし若い兄ちゃんたちがいきっててもあんまり怖くないけど、女の人はうまくスルーする力がないと大変かもなぁ、と少し思った。
metooキャンペーン(セクハラを受けたことがある人がこのハッシュタグをSNSにつける)もわーっと目にするようになり、私も職場や公共の場で起きたムカつく事象を思い出して、今頃奴らの大事なところに熱湯がかかっていますように、と考えることがある。
でも男性の方からも、今思えばあれはセクハラでしたごめんなさい、とか、見て見ぬ振りをしました、とか、次に痴漢にあってる人が居たら助けます、って宣言するようなキャンペーンがあってもいいじゃんね。